「あっちにでっかいスイカあるぞ~」
「ほんと~?」
ベランダから出た智子と拓也くんは、手を繋いで樽で冷やしているスイカに駆け寄った。
嬉しそうにスイカをコンコンと叩く仲の良い二人の姿に微笑ましくなった。
薄暗くなり始めた空の下で、おまわりさんと拓也くんが中心になってお肉や野菜を焼いてくれる。
煙の中にある二人の男らしい姿が、何度も私と智子の胸をキュンとさせた。
「これ焼けたよ」
串に刺さったお肉を私に向けたおまわりさん。
「ありがとう」
私は喜んで串を受け取ろうとした。
けど、あれ……?
どうしてお肉をこっちに向けたままで、串を渡してくれないの?
目を丸くした私に、おまわりさんが大きな口を開けて見せた。
え……それってもしかして……。
声にださない『あ~ん』が私に伝わる。

