恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




「智子、何言ってんの?」


「だって、携帯取られたんでしょ? てことは、あのストラップが先生の手の中にあるってことだよ。それって……ね?」



まさか……

そんなことありえない。


だって担任の先生だよ?

先生が運命の人だなんて……。



「ないない。それはないよ~」


笑いながら否定する私を、智子は真剣な眼差しで見た。


「本当にそう思う?」

「うん。ありえないね」


自信満々で答えながらも、心はソワソワしていた。

それを智子に気づかれたくなくて、私は作業を始める。



この胸のざわめきは何?

私、何かを期待してる……?



違う。

そうじゃない。



先生が運命の人だったら、私は困るんだ。


おまわりさんが、運命の人であってほしい……。