恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「好きな人を傷つけたくない。
好きな人の邪魔になりたくない。
だから、私はおまわりさんの傍にいちゃいけない――。
そう思ってるんだろ?」



はっきりとした口調で話す先生に、私はゆっくりと頷いた。



そのとおりだよ。

だから私は、おまわりさんから離れた。




「私さえこの想いを押し殺せば、いつかおまわりさんは憧れの警察官になれる……
そう信じてる」




そうだよ。

そう信じてる。



私は先生の言葉の後に頷いた。


すると先生は、唇の端を上げて、何かを確信したかのように小さく頷いた。

そしてゆっくりと口を開いた。




「今のは青木の想い。愛の形なんだよな……。
だけど、肝心なことを忘れてるぞ」


「肝心なこと?」


「大好きなおまわりさんの気持ちだよ」




先生の言葉で、私は一瞬息をするのを忘れた。