恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「おまわりさんを傷つけたくないって気持ちはわかるよ。
だけど青木がしたことは、ただの自己愛だよ」



自己愛……?


その言葉で、私の頭に血が昇った。



「先生酷いよ! 先生にはわかんないんだよ!
好きな人が傷つく姿を見たくないって気持ちが!
先生には――」


「わかるよ……」



感情のまま言葉を口にしている私を、先生が静かに止めた。




「わかってる」




先生の低い声と真っ直ぐな瞳。


その瞳から、何故か痛いくらいの悲しみが伝わってきた。





先生、どうしてそんなに悲しい瞳をしてるの?


先生も好きになっちゃいけない人を、好きになったことがあるの?



こんな悲しそうな先生の顔、初めて見たよ……。