「話したくなかったら聞かないけど……」
先生のその言葉の後、私は首を横に振って口を開いた。
「先生……私ね……」
もうどうすることも出来ないけど、何故か先生に私の気持ちを聞いてほしいって思ったんだ。
行き場のない想いを、聞いてほしいって……。
私は智子に話したことを、同じように先生に話した。
先生は、黙って私の話を聞いてくれた。
智子と同じように、時々相槌をうちながら。
だけど、私が話し終わった時に先生が言った言葉は、智子とは全く違うことだった。
「バカだな、おまえ。
全然相手のこと見てないじゃないか」
真顔で言う先生の言葉は、冗談で言ったものではなかった。
「見てない……?
私、おまわりさんのことが好きだよ。好きだから、別れようって決めたんだよ?」
「それが見えてないって言ってんの」
呆れたように机に頬杖をついて私を見る先生。
私は先生の言ってる意味が全然わからなかった。

