恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




おまわりさんの手を離し、立ち止まった私をおまわりさんが見下ろした。



「どうしたの?」



心配そうに声をかけてくれるおまわりさん。


私はおまわりさんを見上げて、声を出した。



「やっぱり付き合うのやめましょう?」




見開いたおまわりさんの瞳から、言葉にならない想いが伝わってくる。


私は目を逸らして、言葉を続けようとした。


「やっぱ無理です。全っ然無理!」



だけど、これ以上言葉が見つからない。


おまわりさんと別れたい理由なんてないんだから……。




「さよなら」



もうだめ……

泣きそうだよ。




「ちょっ……待って!」


おまわりさんの顔を見ないまま歩きだした私の腕を、おまわりさんが掴んだ。