「入ろっか」


本屋さんを指さすおまわりさんに、私は「うん」って答えた。



繋がっていない手……

ほんの数センチの距離が遠く感じる。




本屋さんに入った私達は、それぞれ雑誌を探しに行く。


目的の雑誌を手にした時、棚の向こう側から中年の声が聞こえてきた。



「あなた、さっきの若い人とお知り合いなの?」

「ああ、同遼の警察官だよ」

「あの人警察管なの? あんな若い女の子連れて歩いてるから、てっきり……」



二人の会話で、すぐにさっきの警察官とその奥さんだと気づいた。


私の心臓は変にドキドキして、体中に緊張が走る。



その場を離れようとした時、警察官の言葉が私の動きを止めた。