「今日はいつもと雰囲気が違うね?」
「そっ、そうですか? いつもと同じですけど……」
本当は、いつもはこんなにお洒落な格好をして出かけることなんてない。
全ておまわりさんに綺麗だって思われたくてやったこと。
念入りに髪を整えたのも、お化粧したのも、ワンピースを買ったのも……
おまわりさんのことが、好きだから。
だけど、そのことを知られるのが恥ずかしくて、私はおまわりさんから目を逸らし俯いた。
なのに、おまわりさんはそんな私の気持ちを見透かしたように、私の顔を覗き込んで言った。
「綺麗だよ」
「えっ!? ええ!!??」
驚きのあまり傘からはみ出た私の体を戻すように、おまわりさんが私の手を引き寄せて悪戯な笑みを見せながら言った。
「なーんてね」
な、なーんてねって……
「も~~!!」
私は口を尖らせて、おまわりさんの肩を何度も叩いた。
ドキドキして
嬉しくて
胸の中がパンパンになっていた私。
だけど気がつくと、
自然と一つの傘の中で、私はおまわりさんに触れていた。

