「やっぱり好きな人いるんじゃない」


私の隣に座り、嬉しそうに肘打ちをしてくるお母さん。

私は恥ずかしくて体を反らせた。



「相手はどんな人?　もしかして、宮本さん?」


質問してるのに、なぜか自信ありげに「宮本さん」の名前を口にしたお母さん。


私は全てを見透かされていたことに気づいた。



黙って頷いた私に、『やっぱりね』って感じでお母さんは嬉しそうに顔を縦にふりながら笑みを見せる。


悔しいけど、何も言い返すことが出来なかった。




「いつからお付き合いしてるの?」

「今日はどこに行くの?」


嬉しそうにたくさん質問してくるお母さんから離れたいけど、お母さんは私と腕を組んで離してくれない。



「おばあちゃん、助けてよ～」


テレビを見ていたおばあちゃんに声をかけると、おばあちゃんまで同じような質問をしてきた。



おばあちゃんに助けを求めた私が間違ってた。

仲良しの嫁姑が一緒になると、パワーが２倍以上になる。


私は二人の質問に、首を傾げるような答え方で誤魔化した。