言った後に後悔した。


親に恋バナをするなんて、少なくとも今までの私にはありえなかったこと。

お父さんが咽るのも無理ない。




「ちょっと、気になっただけだから」



すぐに立ち去ろうとした私に、お母さんが声をかけた。



「美樹、お父さんと私はお見合い結婚をしたのよ」




お見合い結婚?

知らなかった。自分の親がお見合いで結婚してたなんて。



「お父さんは不器用な人で、ずっと恋なんてしてなかったの。
ね? お父さん?」


「ん、まぁ……そうだったかな」



恥ずかしそうにご飯を口に運びながら答えるお父さんを、お母さんは優しく見つめた。