「ほら、早く行くぞ?」

しんちゃんはあたしの手をとり、走り出す。


走ってるんだけど、ちゃんとあたしのペースに合わせてくれるのが嬉しい。


こんな小さな幸せがずっと続きますように。


「こらぁー!
廊下は走るなと言ってるだろぉー!?
毎日同じことを言わせるなぁー!」


「やっべぇ、エネゴリだ。」


エネゴリとは体育担当の先生。
ゴリラみたいだから通称エネゴリ。
 
あたしたちは笑いながら、玄関まで走った。


「あーびっくりしたー。
いきなり、現れるんだもん。」