「は、離して――――!!!」 「やだよ。 お前逃げるじゃん」 確かに逃げるけどさ…… でもでもでもっ!!! 「わ、分かりましたからっ…! 逃げませんから降ろしてくださいぃぃっ……!! あたし…… 高所恐怖症なんです―――っ!!」 あたしの言葉を聞いた瞬間、 遼平さんはあたしを降ろしてくれた。 「おめー、早く言えよ」 「……………………」 た、助かった。 安心感からか、声がまったく出ない。 .