―――「パパ、パパ!」



「いい子だな、桃は」



「モモ、パパのこと大好きだから、いい子にしてるんだーっ…!」―――




頭の奥底に沈んでいた記憶が、そっと蘇る。



佐々木家のパパは、あたしが小さい頃に病気で亡くなった。…癌だったらしい。


ぶっちゃけて言うと、パパとの思い出は、お兄ちゃんとあたしにとっては辛い思い出にしか過ぎない。



だけど、ママはいつもパパのことを自信を持って話している。


やっぱり、ママはパパの事が大好きだったんだろうね。



…あたしも、そんな2人のような家庭を築けたらいいな。


それが、誰にも打ち明けた事のない、密かなあたしの夢なんだ。




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