「お兄ちゃん、お帰り」



「桃、元気にしてたか?」




そんなお兄ちゃんは、二十四歳と立派な大人。


それでも、サラサラの茶髪にキリっとした眉など、高校生のあたしから見ても断然若く見えるような外見を持っていた。




「お帰り、幸也」



「ただいま、母さん」




ママとも挨拶を交わしたお兄ちゃんは、玄関の横にある和室へと移動した。


そして仏壇の前に座ると、優しい表情である写真に向かって話し出した。




「ただいま、父さん」




お兄ちゃんはそう呟くと、仏壇に手を合わせた。




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