「ごめんな、佐々木。 ちょっとからかっただけだから」 そう言って、 ニコッと微笑む野坂君。 まったく、もう……。 「それにさ、 佐々木には、あの社長さんがいるじゃん。 そんなことしたら、怒られるしね」 あの社長さんって…… 「遼平さん………」 そっか。 世間から見れば、 あたしと遼平さんはカップルで、 将来を約束してる仲だったんだっけ――…?? 「そうだよね。 よかった、キスするふりで」 それでも、ほっとする自分がいた。 あの人の、悲しむところを ―――想像しなくて済むから。 .