十数分後、漸く駅に辿り着いた。ホームにはヒトが疎らにいる。

「あ、それじゃ僕、行き先こっちなんで」

コウヅキの後を歩いていたトヲルが反対側の、丁度シャトルが入ってきたばかりのホームへ行こうとしたのだが。

「ちょっと待てぃ」

トヲルの襟首を片手で、むんずと捕まえた。

「な、何を!?僕、これから家に帰るんだけど」

「こっちにはまだ、用があるんだよ」

コウヅキは藻掻いているトヲルを押さえつけながら、目の前に止まっているシャトルに無理矢理乗せる。

「えっ?まだ何か仕事が残っているの!?」

「ああ、今日最後の仕事がな」

シャトルのドアが閉まり、車体は静かに走り始めた。

そこでトヲルは、今まで何の説明もなく手伝わされているので、今度こそは最初に話を聞こうと思い、

「あの、今度は一体どういう仕事?」

と、流れゆく景色を見ているコウヅキに、思い切って尋ねてみた。

目線を窓に向けたままで、トヲルを見ずに答える。

「あんたを『ゴードン』まで連れて行く仕事だ」

聞かなきゃよかった…。

後悔とは裏腹に、シャトルはスピードを落とすことなく走り続けた。