トヲルはそれに耐えられなくなり、崩れるように床に手をついた。丁度水たまりのある辺りだった。

ふと、ついた手に違和感を覚えた。

思わず手の平を返すと、そこには赤黒い、半分固まりかけた液体がこびり付いていた。

トヲルはハッと気付き、目の前にあるその水たまりをじっと見詰めた。

(もしかして、ここにあるものって…)

それに気が付いたとき、トヲルは胃の底から湧き上がってくるモノを、押さえることができなかった。

しかし涙とともに吐き出したのは、そのことと、この異臭のせいだけではない。

見つけてしまったのだ。





その集団の中に、変わり果てた両親の姿を。