ピクンッ。

と、ペルギウスの耳が動いた。

《…来る!》

一瞬目を見開くと一言だけそう呟き、再び目を閉じた。

「えっ!?」

突然のことで驚き、トヲルはペルギウスを落としそうになった。

(く、来るって…何が?)

「?どうかちまちたか?」

辺りを落ち着きなく見回し始めたトヲルに、船長は訝しげな目線を送った。コウヅキも腕を組んだままで、眉を顰めてこちらを見詰めている。

「船長」

今まで船のオペレーションをしていたセリシアが、静かに声を掛けてきた。

「座標軸0257 6849で、高圧縮エネルギー反応を確認しました」

その言葉に返事をする直前で、ぐらりと船が大きく揺れた。

同時に、辺りが眩しい光に包まれていくのを感じる。

そのあまりの眩しさに、咄嗟にトヲルは目を閉じた。

そして自分の意識もまた、その光に溶けていくような、そんな感覚に見舞われた。