約束?

それだけで?

何故そこまでして、赤の他人の子供を助けようとするのだろうか。

そのまま放置していれば、何れは死ぬのである。助ける義理もないはずだ。

コウヅキには分からなかった。

更にそれを、コウヅキにも手伝ってほしいと、タスクは頼んできた。

コウヅキは「何故自分に頼むのか」、と驚いた。

前から親しそうな軍医ならともかく、自分は偶々あの場に居合わせただけである。

タスクのことを裏切らないという保証は、何処にもない。

そのことを言うと、

「コウヅキを信頼しているから頼むんだ」

真摯な眼差しを向けて、そう言ってきた。

確かにこのことを知っているのは、タスクと軍医とコウヅキの3人だけである。

コウヅキがタスクを軍に売らなかったのは、単純に『面倒なことには関わりたくなかった』、それだけだった。

例え、もしこのことを軍にバラしたとしても、コウヅキには何の得にもならない。

決して、タスクのためなどではなかったのである。