黒薔薇

「優香ちゃんって、春人狙いだったでしょ」


「えっ・・・」


カラオケボックスを出ると、達也はそう切り出した。


「だって、あいつしか見てなかったし」


「えぇっと、どこかで会ったことあるような気がしたの」


嘘じゃない。


それなのに、嘘をついたような罪悪感がぬぐえない。


「でも、ダメだよ」


「えっ?どうして?」


彼女でもいるのだろうか?


こちらも、フリーだったのは私一人なんだから、責めることはできない。