黒薔薇

そう、感想でしかない。


いつの間にか、他人に抱く感情が、感想になった。


久しぶりに、別の感情を抱かせてくれたのが彼だった。


どうして?


理由が分からない不安と何かが変わるかもしれないという期待。


「冗談はさておき、あいつ、心に決めた人がいるらしいんだ」


知ってる。


気のない返事を返しながら、不思議とそう思えた。


「あれ?もしかしてショックを受けてる?」


首を横に振って否定する。