……だってほら。 朝になったら。 あの、見知らぬ彼女が居たっていう痕跡は、何もない。 本人は、もちろん。 部屋中探しても、どこにもいないし。 彼女の履いていた靴も、持って来たバックもなく。 ベッドだって、誰かを抱いたような乱れも、シミもなく。 僕一人が眠った跡だけを残して、パリッとキレイだ。 だから。 夢。 夢、なんだと僕は、思う。 そして、こんな刺激的な夢を見た後は。 僕の醜い欲望も消えていた。 キレイさっぱり。 ……まるで、ウソみたいに。