アイツも俺のことが好きらしい。

* * * * * *
変わらないもの

松本航平
渡舞子
* * * * * *


――え。

てかコレ夢?


いつかは言わなきゃと思っていた言葉を

先にもらってしまった。


アイツと俺だよ!?

アイツが俺を……だよ!?


ありえないくらい

嬉しいんだけど。





中学の時、友達に


「航平と渡さんって付き合ってんの?」

「実は好きとかないわけ?」


と聞かれたことがあった。


俺は


「ない。ありえないっしょ?」


っと言って笑ってその場をやり過ごしたけど……実は少し動揺していた。


本当はその時すでに舞子を見ていた。


「アイツが好きか」と聞かれて

「はい好きです」なんてサラッと答えられるか!!


俺にはありえなかった。


まぁ、その後その友達が舞子に告ったのが1番ありえねぇ話だけどな?





結局、書いたのが舞子って分かってから舞子とは一言もしゃべっていない。


どうしたらいいか分かんなかっただけなんだ。


ずっとただの友達同士だった俺ら。

どう接したらいいか分かんないし、照れ臭いし。


でも、結局俺はまだアイツにちゃんと伝えられてないんだから、それだけは伝えないと。

もう気付かれてるだろうけど……。



それから俺はあることを閃き、

ページを開いたまま全く進んでいない宿題を止め、眠りについた。


* *


翌朝、いつもよりかなり早めに家を出た。

教室に着くと、急いでシャーペンを取り出し、


アイツの机に字を書いた。



アイツはどんな反応をするだろうか?

自然と口元が緩んだ。



少し経って、廊下からアイツの声が聞こえた気がして、俺は思わず机に伏せた。



俺らに改まった言葉なんてらしくない。

でも、いつかは口で言おう。

そう決めた。



隣の席にアイツの気配。


もう少し経ったら、声を掛けよう。



『はよ。宿題見せてくんない?』