事務用の長机にシーツをかぶせただけの陳腐な売り場に薄っすらと雪が積もっている。

すっかり暗くなった駅前にフワフワと白い雪が舞った。

こんな南では数年に一度の珍しい現象。

思わず右手のひらを目の前に差し出す。

密度の低い氷の粒は、冷たくなった手の上でも一瞬で消えた。


急に背後が騒がしくなった。

(電車が着いたのかな)

帰宅ラッシュの喧騒を背中で感じながら、これで残りのケーキが売れそうな気がして気持ちが軽くなった。