初めは本当に、仕事だと思っていた。


でも、段々と可笑しいと思い始めていた頃―。


母から話を聞き、確信へ変わった……。


「昨日たか、兄と会ったらしいんだけど、派手な女と一緒で、知らない顔して歩いて行ったって」


一瞬…嫌な予感がした。まさか…って。


でも…冷静を装い

「そうなんだ」

って誤魔化した。


ねぇたかさん、その女は誰?

ただの友達?

信じて良いんだよね…?


本当は、心中穏やかじゃない!


考えれば考える程に、不安は募っていく―。


「難しい顔してるよ」

母の声で我に帰り、ハッとし、リビングに居た事を思い出し、部屋へ行く。


「はぁ…」

ため息しか出ない。


もう考えたくないし、今日は、早めに寝よう。


ベッドに潜り込む。


寝ようと思っても、さっきの事が頭から離れてくれず、中々寝付けない。


「明日、仕事なのに…」


そしていつの間にか、夜はふけ、眠りについていた―。




~次の日~

「ねむっ…。昨日、中々寝付けなかったもんな。遅番で良かったよ」


今日の勤務は12時半から夜の9時まで。


リビングに降りて行くと、母はもう仕事に行って居なかった。