数独はナンバープレイスとも呼ばれ、簡単に言うと、ブロック内の数字が重複しないように、様々な条件に従ってマスを埋める“数字パズル”のことだ。大きさは1~3、1~9の数字を使用する3×3、9×9なんてものから、使用する数字を増やして行う16×16、25×25というものまである。ハマればとても楽しいので、オレはよく徹夜してしまうのだ。



「そんなもんに面白さを感じるお前が分かんねーよ。」



 その言葉に内心で、オレはいつまで経っても“受験”という単語に危機感を抱(いだ)かないお前がよく分からないな、と悪態をつく。後から泣き付かれないように、在の彼女には是非ともスパルタで指導して頂きたい。



「今日の1限って体育だろ?そろそろ行かなきゃ!」

「あぁ、選択球技だっけ。どうせお前はサッカーだろ?」

「まぁね。健はまたバスケ?背が高いっていいよねぇ、頼りにされて。」



 微笑する在を横目に教室へ向かって歩き出すと、奴は「ちょっと待ってよー!」と言いながらちょこちょこと走り寄ってくる。あぁ、やっぱり年の離れた弟としか思えない。そんなことを思いながら、小声で笑った。