「廉人さんたちと帰りなって
言ったのに」

「気がついたら
もういなかった」

廉人さんが地理がわかんない中学生を
置いていくとは思えないけど

「おめでとう
決勝ステージ進出だ」

棒読みのセリフのように言うが
文章になっていった

「ありがとう」

「さっき
先生と何を話していたの?」

もしかして
海堂彰吾が単語で言葉を発するのは
北海道訛りを隠すため?

イントネーションが
私と少し違う

「あ…えっと
海堂彰吾が私の通っている高校に
来てくれないかって頼んでくれって

迷惑な誘いだよね」

私が明るい声で言う

「いいよ」

「そうそう、断ってくれて
…え?」

私は海堂彰吾の顔を見た
夕日で
彼の顔がオレンジ色になっている

「いいよ」

「そんな簡単に返事しないほうが…」

「俺、受験する学校決めたから」

「あんな学校でいいの?
バスケットの名門校とは程遠いんだよ
優勝なんて…もう何年もしてない高校なんだよ」

「うん、知ってる
でも、紫音がいるから」

「はい?」

私の思考がストップした
何を言っているのか
わからない

そして大男の考えている内容が
わからなかった