「相変わらずカイはつまんない顔してるね」

「ウルサイよ」


あれだけ悩み抜いたにも関わらず、次にサクラと向き合った瞬間には、

まるで、何事もなかったかのように、振る舞っている自分がいた。



いつもの顔で。

いつもの場所で。


――いつものように。



もちろんサクラは、俺の内心なんて、知る由もない。


俺達の間に在る、名もなき繋がりは、きっと、俺がサクラに真実を問い詰めた瞬間に、

脆く、淡く、消え去ってしまうだろう。



その後に現れるものが、ただの空白なのか、

それとも、形を変えた新たな繋がりなのか……


俺は、その先を考えるのが恐かった。



そして、もっとも恐れるべきことは、

今ではもう、否定しきれない安らぎを与えてくれている、この空間を失ってしまうこと――