少しずつ
少しずつ
だけど着実に
浮かび上がってくる。
逃れることのできない、何かが
すぐそこまで、迫ってきている。
――確実に。
そんな予感。
私は気付けば、カイを探していた。
自分でも驚くほど、必死に。
さっきカイを連れられていった男と、カイの後ろ姿を見つけて、私はとっさに駆け寄ろうとした。
私は、無意識にカイに助けを求めてしまっていたのだ。
“心には触れない”
これは、自分が交わさせた約束であったというのに――
しかし、走り出した瞬間、突然、頭を割られるような鋭い痛みに襲われて、私はうずくまった。
イタイ
イタイ
誰か……
……助けて。
カイ――