私はきりっと背筋を伸ばしました。 本当は夜に映画を見に行けたらいいのですが、私の父親が門限に口うるさく、それはかないませんでした。 でも、デートにはちがいありません。 そう考えると、夜なんて贅沢(ぜいたく)すぎます。 「……ふぅ」 私はため息をつき、腕時計を見ます。 約束の時間まであと5分。緊張におしつぶされそうです。 「……あ!」 先輩だ! 遠くに先輩がいます! よかった、来てくれたんですね! 私はひとまず安心します。 しかし、何だか先輩の様子がおかしい気がします。