「何も見てねぇよ」 俺はそっぽを向いた。 「見てたでしょぉ?」 「見てねぇって」 「ははぁん、さてはラムが可愛いから見とれてたんでしょう?」 このガキ、見とれてはいないがだいたい合ってやがる。 カンの良い奴だ。 「うるせぇなぁ、見てねぇよ。だいたいなんだその言いぐさは。まるで自分が可愛いって言ってるみたいじゃねぇか。自信過剰(じしんかじょう)なやつめ。」 俺は正面に目線を戻し、歩く速度をはやめた。 ラムは「ぷぅぅ」っと顔をふくらませる。