翼は杏よりさらに不器用だった。







翼が杏を気にしはじめたのは、あの日…



翼の球が捕れず焦るアツシを気遣っておどけてピッチャー交代をした、あの優しさに触れたときだった。

それからどんどん杏に惹き付けられていった。




人見知りしない慣つっこい性格も、

みんなを気遣うことのできる優しいところも、

杏がくれる笑顔、前向きな言葉も、

練習にためらいなく入ってくるあの元気さも、






翼はそんな杏のすべてが愛しくて愛しくてしょうがなかった。