「おじさんとデートはしてね」



「え!!あ、はあ…」



優しく笑いかけてくれながら、まだそんな事を言うおじさんに、驚かされる。



「ダメよお、瑠衣がヤキモチ焼いちゃったら、大変なのはももちゃんよ?」



「う〜ん…そうだよなあ…どうすればいいと思う?」



「そうねえ……瑠衣抜きで3人で遊びましょうよ!!」



「お、それいいね〜♪」




う…うん…な、何か良かった。


ひょっとして反対されちゃったりとか、気まずくなったりしたりしたら、すごく嫌だ。


認めてもらってる…のだろう。


「なあ、るぅ何て言ったんだよ」



「え!!」



「それくらい聞く権利あるだろう!!」


宗太の言葉に、どんどん顔が熱くなる。

そんな様子を、みんながぐるりと期待と好奇の目で私を見つめる。


逃げ道がまじでない。


テーブル並べられた料理の間に、口の付けられていない烏龍茶の入ったグラスが目に入り、気持ちを落ち着かせようと一気にグッと煽る。


「るぅに聞いて下さいっ」



吐き出すように言いながら、視線から逃れるように俯いた。


すぐ近くでは、隼人君がももちゃんと遊ぶ声が聞こえる。



…私も、今だけももちゃんになりたいよ。


「ももちゃん!!ももちゃ〜ん!!誰か!!ももちゃんを呼んでくれ!!」



私の名前を呼ぶ声に顔を巡らせると、そこには瑠衣斗に押さえつけらる、腕を逆の方向へひねり上げられている大輔さん。


「気安くももの名前を呼ぶな」



「はあ?お前どんなけアホ…って、いでーえ!!!!」



そんな様子にヒヤヒヤとしつつ、私も私でたくさんの人達に囲まれていく。



「まさか瑠衣がこんな可愛い子とねえ〜」



「うちのバカにも、こんな子が彼女になってくれないかしら」



口々に私に向けられる言葉に、私はただ曖昧に返事をするしかない。


そんな様子を、宗太と龍雅は遠巻きに眺め、笑うだけだった。