少し熱い唇に、熱っぽい瞳に私のトロンとした顔が写り込む。


瑠衣斗の目に、私を捉えられている事に幸せを感じる。


かなりビックリしたし、どうしようかとも思ったけれど、不思議と嫌ではなかった。


と言うより、怖くなかった。


多分それはきっと、瑠衣斗がくれた言葉のおかげなのだろう。



「言わねーの?言わねーならもっと…」


「待って!!ちゃんと言うっ」



でも、言葉とは裏腹に、明らかに意地悪に拍車が掛かった瑠衣斗は、気のせいではないだろう。


でも、だから言うんじゃない。


言わされてる状況かもしれないけれど……。


るぅが言って欲しい事は、私も言って欲しい言葉だから。



私は、不思議な程穏やかな気持ちで瑠衣斗を見つめた。



「るぅ…瑠衣斗…大好き」




瑠衣斗が息を呑むのが分かる。


途端に顔が真っ赤になった瑠衣斗は、何だか幼くも見えてとても可愛いとすら思える。


掴まれていた両手を、瑠衣斗がそっと離すと、その手すら離れてしまう事に寂しさを覚えた。


そんな私を余所に、ガックリと肩を落とした瑠衣斗が、また溜め息を吐き出す。



「本当によぉ〜、反則すぎるだろう…俺…耐えられるのかあ?」


「ねえ、何年片思いしてたの?」


「…………」



顔を上げた瑠衣斗が、真っ赤な顔で私を見下ろすようにジロリと睨む。


そのまま立ち上がると、何故かスタスタと部屋の外へと歩き出す。


訳の分からないまま背中を見つめていると、吐き捨てるように瑠衣斗が叫ぶ。


「シャワー浴びて頭冷やしてくる!!」


そして、思い出したように一旦止まると、肩越しに振り返り、意味深に笑う。




「覚えとけよ?倍返しだからな」