いちえ



「……普通…かな?」


「…普通?」



普通…っていまいち自分で言っても分からないけども。


人それぞれ、その基準?みたいなモノは、きっと違うんだろうけども。



普通?と聞き返してきた純平は、納得したような、何かを考えているような表情をしている。


この人、本気で参考にするつもりなんだろうか。



「ももの普通って?」


そんな純平を余所に、夏希がそう私に質問した。




「うーん?好きってちゃんと言葉で欲しい。それだけ」



その一言で、十分立派な告白だと思う。



「ふ〜ん?…だ〜ってさ」


「って!?なっ、ちょっ…なっちゃん!!」



バシッと夏希が瑠衣斗の肩を軽く叩いた。


傍らでは、純平がまた笑っている。


戸惑ったような瑠衣斗と、何故か瑠衣斗に話を振った夏希に疑問が浮かぶ。





………だってさ………???




「ね、何が?」


「何でもねえ気にすんな!!」


はあ?

意味分かんない。



私の質問に、瑠衣斗は慌てたようにまくし立てると、これ以上は何も聞けなくされてしまった。



気にすんな…って………



「何か変だよ?」


「変じゃねえよ」



そんな私達の会話を、夏希と純平は笑って見ているだけだ。



教えてくれたっていいじゃ……


…あ、分かっちゃった…かも。


その途端、胸がギュッと締め付けられた。

モヤモヤとする胸の嫌な感覚を、吐き出すように思い切って口を開けた。



「……告白のセリフ…?でも考えてんの?」