外はやはり刺すように寒くて、なまじ暖かい所にいた分その寒さはキツく感じる。


「八幡さん、さっきの自転車大丈夫だった?」


入り口から出て直ぐの所に八幡は立っていた。


「あ、はい。幸いにも当たってないので」


「それはよかった」


僕らは自然と歩き始めた。


最初のうちは無言のまま、冷たい空気にまとわりつかれながら歩いていた。


だけど景色が変わり始めるとポツポツと八幡が(意外なことに)積極的に会話のスタートを切り、短いながらも話をした。


しかし途中からはもう八幡の独白みたいな感じで話が進み、僕は聞きに回る。


八幡はあのテレビやあの本が面白いなどと、多分共通認識の線がありそうな話題を僕に振ってくれてるんだろうけど僕には内容が分からず会話にならない。


だけど八幡の話は止まる事なく、結局別れ際まで八幡は喋り続けていた。