次の日、八幡が僕の家にやって来た。今日は平日で、もちろん学校はいつも通りある。


それはどうやら八幡も理解してるようで八幡の服装は制服だ。


だけど見慣れたはずのそれは、今日はどうにも儚く見える。まるで蜻蛉(かげろう)のように思えた。


「ごめん。来ちゃった」


八幡はいつものように謝り、頭を下げた。


「そんな、謝る事なんてないよ。来てくれて嬉しいよ」


言うと八幡は表情を綻ばせ笑った。


「あのね。私、夏樹君にお礼を言いに来たんだ」


「僕に、お礼?」


僕は少し戸惑いながらも考えた。僕は八幡に何をしてあげただろう。