12月。
初めて雪が降った日。
朝、
彼女は白くなった俺を見た。
ボンネットの上の雪を少しよけた。
「真っ白だ。…寒いね。」
話し掛けてくれた!
俺に!
もちろん外は寒かったけど、
彼女の姿を見るたびに、
俺の心は熱くなった。
12月31日。
大晦日というものらしい。
オーナーは俺には乗らないで、
歩いて近くの神社に行っている。
神様にお祈りをするんだそうだ。
ゴーン、ゴーン
お寺の方から鐘の音が聞こえる。
104回……。
きっと、
あと少しで新しい歳だ。
ゴーン
オーナーが大企業の社長になったのも、
近くの神社の神様がチャンスを与えてくれたからだと言っていた。
神様、
俺のお願い、
叶えてくれますか?
ゴーン
俺は彼女に会いたいのです。
彼女とお話したいのです。
彼女の笑顔がみたいのです。
彼女とずっとずっと一緒にいたいのです。
お願いです。
神様。
俺の願いを叶えてください。
どうかどうか、
叶えてください。
ゴーン

