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「あれ?寄り道って、ここ?」
「…あぁ」
遼の簡単な質問に、相応な答えをくれてやる。
「こんなトコに何の用だよ?」
こんなところとは、見慣れた公園。
子どもが喜ぶような遊具も特にない、落ち着いた公園。
そう、珪の言う“寄るところ”とは、噴水公園だった。
「…まぁ、ちょっと…な」
「??」
珪は、軽く遼の言葉を受け流すと、昨夜と同じように
ゆっくりと噴水の方へ歩く。
遼は、不思議そうな視線を送っている。
「……いるんだろ?」
噴水の直ぐ前まで来て、珪が小さな声で言う。
それは、遼に向けられた言葉ではない。
今、この場には見えていない…一人の少女に向けられたものだ。
「は?あぁ、ここにいるぞ?」
遼は勘違いしているらしく、珪の言葉に応える。
「違う、お前じゃない」
馬鹿か?とでも続けそうな口調で、珪は否定する。
「……ほら、出て来いよ」
軽く遼を傷つけた後、薄く口元に笑みを浮かべて
珪は少女に語りかける。
見えてはいない。しかし、その場に居るような気がしたからだ。
いや、分かっていた。そこに彼女が居ると。
「……ん~…なんで分かっちゃうかなぁ」
一瞬、珪の前の空間が歪み、一人の少女が現れた。
そう、昨夜の少女…麻琴だ。
「いや…ただ、なんとなく」
珪は、麻琴の質問に答えになっていない答えを返して、
ちらと遼の様子を伺ってみた。
「な、な、なぁ~!?」
遼は、至って人間的なリアクションで驚いていた。
