「お待たせ。」


待ち合わせたカフェに入ると

一足先に着いていた華織がいた。


「愛奈ぁぁ!!」


甲高い声が
店内に響き渡る。


「なんか相当ヤバそうだったけど、またなんかあった??
仕事中も全っ然喋って無かったし、ママも心配してたよ!!
体調悪いんじゃないですか?ってフォローしといたけど……
佐古田さんの事じゃないの?」


華織は時々タバコをくわてみるが

火をつけずに話を続けた。


「佐古田さん最近店にも来ないし
なんかあったのかなぁって思ってたけど、
ほら、出張多いじゃん?だからどうせまた二週間もしたら来るかなぁと思ってさぁ!!」


華織の言う佐古田というのは
あたしの彼氏。


佐古田 亮。


彼氏といっても


相手には
奥さんも子供もいる。


そう。


あたしは
彼と不倫をしている。



店員さんが
注文を取りに来たので
話は一旦途切れた。


「ホットコーヒー」


大好きなカルボナーラを頼める気分では無かった。