えぇー?
なんか意味分からん。
ちょ!親指立てんな!!

すると、落ち着いたのか自分の中で何か決着でもついたのか、彼女たちの一人が、鼻を抑えながら乙女座りをしてくれとポーズ指定があり、そこに座る。

というか、乙女座りって…。
僕は女の子じゃないんだけどなぁ……。

「洋貴、洋貴!上目遣い!!」

は?上目遣い?
僕は言われるままに、僕よりも視線の高い彼女を見上げた。
そういえば僕、上目遣いのやり方知らないや。

すると彼女はこのポーズのままいろいろ小道具(どっから出したんだろう…)を持たせたりして、僕をいろんな角度から撮っていく。
そして何枚か撮ると満足したのか、何度もお礼を言って人混みの中に消えていった。

そうやって何回かカメラを持った人たちに写真を頼まれ、その度に皐月が鼻息を荒くして了承し…を繰り返す。

僕も最初は恥ずかしかったけど、撮られてるうちに恥ずかしさはだんだんと薄れていって、カメラを持ってくる人たち(カメ娘って言うんだって)に囲まれ…るのは怖いけど、撮られるのはちょっと馴れたみたいだった。

「あの、ちょっと寝っ転がってもらっても良いですか?」

「え、あ…「いいですとも!」…そういうことらしいです」

皐月の鼻息荒いその返事に本日何十度目かのため息をつきながら、今まで座っていたそこに寝っ転がる。

「出来れば、うつ伏せがいいんですが…」

僕が皐月に目配せすると、彼女からはウィンクが返ってきた。
僕はそれを了承と受け取り、うつ伏せになって両肘をつく。

「か…可愛い……!」

そのカメラを持った女の子が、鼻を抑えながらフラフラとよろめく。
本当に、どうしたんだろう?

皐月に聞いても答えてくれないし…なんだか、むーってなる。