かすみ草の夢

「おう、行ってこい。
健太、優衣の面倒みてやってくれ。
どうせもうあと1,2本で集合時間だ。
最後まで上級者コースを堪能して来いよ」

私が答えるより先にカンジ先輩が答えた。

優衣は嬉しそうに笑うと、健太と一緒にリフトに乗って行ってしまった。

優衣、我慢して付き合ってくれてたんだ。

カンジ先輩が優衣を行かせてあげてくれてよかった、と思うと同時に、カンジ先輩も同じなんじゃ、と心配になった。

「あの、カンジ先輩も上級者コース行ってください。
私、その辺で休憩してますから」

「ん?もう疲れた?」

「いえ、そうじゃないですけど」

カンジ先輩は微笑むと、私の頭にぽんと手を乗せた。

「真奈美は遠慮しすぎ。
今のコース気に入ったよ。
もう1回行こう!」

カンジ先輩はそう言って、私の大好きな笑顔を見せてくれた。