かすみ草の夢

その瞬間、ぐっと体をつかまれ、山側に倒された。

止まった。

助かった。

安堵で涙があふれてきた。

「真奈美、大丈夫か?」

カンジ先輩の声がすぐ近くで聞こえた。

ああ、カンジ先輩が助けてくれたんだ。

先輩、ありがとう。

そう言いたいのに、声にならず、口から漏れるのは嗚咽だけだった。

「うっ、うっ、うっ」

後ろに一緒に倒れこんでいたカンジ先輩が、私の前に回りこんできてくれた。

「ごめん、真奈美。
俺がついていながら。
怪我ないか?」

カンジ先輩の顔が見えて、私は心からほっとした。