かすみ草の夢

カゴはもう山盛り。

ずいぶん選んだけど…

「カンジ先輩、あといくつくらいですか?」

「ん~、1、2、3…、あと6個だな」

私は辺りを見回し、レジの近くにあったカゴを持ってきた。

「お、気がきくなあ」

カンジ先輩はそう言って、手を出してきた。

「え、いいですよ、こっちは私が持ちます」

「女の子に荷物持たせるわけにはいかないよ」

「これくらい大丈夫です」

私はカゴをカンジ先輩から遠ざけ、後ろ手に持った。

「真奈美はいい子だなあ」

カンジ先輩はニコッと微笑んでくれた。

二重の大きな目が細められ、目じりにいくつかしわができるカンジ先輩の笑顔、いつ見ても癒される。

私も自然と笑顔になった。