これは幼稚園の年長の頃。

昔の私は今と同じくいじめられていた。今ほどひどいものではなかったが、それでも、よく男子にからかわれたりして泣いていた。


ある休み時間。

私はまたいじめられて、外でずっと泣いていた。

「・・・・ぅっ・・・・・ひっくっ・・・・」

そんな時、誰かに声をかけられた。

「どうしたの?泣いてるの?」

ビックリして声のしたほうへ振り返ってみたら、見たことのない女の子が立っていた。

「・・・・・っ・・・・だれ・・・・?」
聞いてみたらその子は私と向き合う形で座り込んだ。

「わたし?私は柚木沙織ってーの。あんたは?」

「・・・・・さ・・・」

「聞こえないよっ!もっと大きな声でいってみて?」

その子は私とは全く違って、とっても元気がよくはぎれのいい子だった。

強く言われたので、思わず私もむきになって大きな声で言ってしまった。

「椿咲羅(つばきさくら)!!!」


「ふ~ん。で?どうして泣いてるわけ?」
「い・・・・いじめられたから・・・・」

勇気を振り絞って言ってみた。

「どんなことで?」
「かわいく・・ないから・・・・あっちいけって・・・」

「フフフフッ!」

なぜかその沙織って子は笑った。

「・・・?」

「なんだ。そんなことか!かわいくないからあっちいけなんて、そんなんだったら、どんな女の子だって言われちゃうわよ。私だって」