「だから、美智子ちゃんはもっとワガママになる事!」


美智子ちゃんは頭の上にハテナマークを飛ばすような表情を浮かべる。


「ワガママって…」


「気をつかわなくていいよ、俺にも。 まいまいにも」


「いや、別に気をつかってないよ?」


まあ、美智子ちゃんはそうゆう性格ってのもあるんだろうけど。


「電話、終わったよー」


そう言って、部屋に戻ってくるまいまいを、ドアで押しのける。


「ぶは! 何すんのー!」


「まいまい、もう帰れ」


「えー!なんでー!」


「俺と美智子ちゃんのイチャイチャ時間を邪魔すんな。 美智子ちゃんも、何か言ってやって!」


美智子ちゃんは驚いたような顔をしたあと、ちょっと考え込んでいた。


そして、笑顔でこう言った。


「まいちゃん、ゴメンね? 二人っきりに、してくれる?」


と、言った。


「おふ。 美智子ちゃんがそんな事言うなんて…」


「と、いうワケなの。 分かった? お邪魔虫さんは退場してください」


「むーっ」


頬をぷーっと風船のように膨らませるまいまい。
分かったよ、と呟いて、背を向けた。


「…カツオ」


背を向けたまま、まいまいが話しかける。


「なんだよ」


「ありがとね」


それだけ言って、出て行ったまいまい。