とかなんとかいいつつ、飲みに来てる俺って。
女って、普通カシスオレンジってイメージあるけど。
「生ふたつー!」
って俺に何も聞かずに注文する真帆。
まあええけど。
「せいじ先輩は、恋とかしてないんですか? 恋人は?」
「おったらこんなとこ来てないわ」
そうですよねー、と笑う真帆。
なんやバカにしてんのか。
「その年で学年主任ってすごいですよね!」
「今人手不足やからなぁ」
「それでもすごいですよー!」
真帆はニコニコして、ビールを受け取った。
「じゃ、かんぱーいっ!」
カツン、と音がして、ビールの泡が少しこぼれる。
ゴクッゴクッ、と大きく喉を鳴らせて飲む真帆。
…一気飲みかい。
「ぷはっ!」
口の周りについた泡を手でぬぐって、またビールを注文する。
どんだけ飲む気や、コイツ。
「えへへ、楽しいですね!」
「いつもひとり酒か?」
「うーん、たまに友達と飲んだりしますけど…」
「そいつには相談とかせえへんのか?」
「しますけどー。 皆、『別れた方がいい』とか『別れて正解』って言うんですよー!」
「そうなんか」
「私はそうは思わないんです!」
新しく来たビールも一気に飲み、また注文した。


