そういえば、森本はもちろんだけどあと一人、要注意人物がいたんだった。
担当クラスに居る、明石遠也。
彼も姫条の事が好きだったっていうのを姫条の友人の徳川から聞いた。
…って事は安心か。
姫条も明石の事を『存在感無い』だのどうだのって言ってたしな。
ひどい話だが。
正直、明石より森本の方が気になる。
幼なじみで、部屋に行く事は問題じゃないんだ。
森本に、姫条にまだ気があるんじゃないかっていうのが、気になるだけで。
「先生」
授業が終わって、廊下で立ちつくしていると、声をかけられた。
声の主は、森本だった。
「どうしたんですか? なんか今日変だったっすよ」
…変?
そうだったのか。
「なにか、悩み事でもあるんすか?」
「いや、別に…」
お前の事で悩んでる、なんて言えるわけない。


