「せいじ先輩のクラスにいるでしょ。 森本勝男って」
「おお、クラスどころか全学年でモテモテらしいなあ」
「そう、その森本の部屋で遊んでたらしいんですけど」
「まあ、幼なじみやしな」
「それを一方的に話してきたあと、『冷たい』って言って逃げるんですよ」
そう言ったらゲラゲラと、せいじ先輩が笑いだす。
…なんなんですか。
「いや、『年下の彼女』とか言っといて、普通にそれ姫条の話やん」
「…あ、そうでしたね」
「まあええけど。 姫条は、お前がヤキモチやかへん事に怒ってんねんな」
…ヤキモチ、か。
そういえば、そうか。
「でも、俺も大人の男ですから。 そのへんわきまえてますよ」
「ははん、そんな事言って…」
酒の席で色々グチ入れるんは誰や、と笑った。
俺、酒飲むと本音出るんだったな。
「お前は、姫条やその他大勢の先生で、そいつらから見たら大人かも知れんけど、『一人の男』って事も忘れんなよ」
「…はあ」
感情をむき出すほど、子供じゃない。
だけど、『一人の男』としての俺って…どうなんだろう。