「蓮哉は器用に女を弄ぶようなタイプじゃないんだよね。オレから言わせれば、逆に『何やってんの?』ってぐらい不器用なんだよ。なんつーの……あいつの場合、優しすぎるのが欠点つーかさ」


優しすぎる……。

蓮君の周りにいる人はみんなそう言う。

美雨ちゃんも律子さんもそう言ってた。


「あいつ、あのルックスだからさ。黙ってても女が積極的に寄ってくるわけ。適当にあしらっとけばいいのにさ、冷たく拒めないから女の方が勝手に勘違いするパターンが多いんだよね」


「そうなんだ……」


「で、結果的に二股……みたいな面倒なことになることもあったりしてね。まぁ、さすがに最近は学習したのか、そういう揉め事もなさそうだけどさ」


「蓮君らしいね……」


あたしはクスクス笑った。

蓮君って昔からそんなところがある。

しっかりしてそうなのに、鈍感だったり。

計算してそうで、天然だったり。



「ほんと誰にでも優しいから……罪つくりだよね。誤解しちゃう女の子の気持ち、あたしわかるよ」


「だよな」


大輔君もクスクス笑ってる。


「オレが知る限り、あいつ、自分から告ったことないんじゃねぇかな。恋愛偏差値なんか小学生並じゃねーか……とか思うし」


そうなのかぁ……。

だとしたら、やっぱり美雨ちゃんは特別なんだな。

美雨ちゃんには自分から告白したんだもんね。

それだけ本気で好きってことだよね。


あたしは、またテンション下がり気味で「はぁ……」と小さくため息をついた。